2023-01-27

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生産性向上につながる、心理的安全性とは?

  • ビジネストレンド
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チームビルディングにおいて重要な考え方に、「心理的安全性」というものがあります。
心理的安全性は、組織・チームのパフォーマンスを向上させるポイントとして、ビジネスの世界で近年注目を集めています。

本稿では、心理的安全性とは何かを解説するとともに、その効果やメリットについて掘り下げていきます。

心理的安全性とは?

 

心理的安全性の定義

 

心理的安全性とは、「サイコロジカル・セーフティ(psychological safety)」という心理学用語を日本語訳したものです。
1999年にハーバード大学の組織行動学者であるエイミー・C・エドモンドソン教授が発表した論文「Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams」において重要性が提唱されました。
論文において、心理的安全性は下記のように定義されています。
 

A shared belief held by members of a team that the team is safe for interpersonal risk taking(対人関係においてリスクのある行動を取ってもこのチームでは安全であるという、チームメンバーによって共有された考え)

-Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams(Amy Edmondson,1999)

 

心理的安全性が高い状態とは、ミスを非難されたり、率直な意見を言って罰せられたりする心配がなく、安心して行動や発言ができる状態と言えます。
つまり、「誰もが自由に、率直な意見や指摘を述べることができる」ということです。
 

注目を集めたきっかけ

 

論文で心理的安全性についての発表がされたのは1999年ですが、ここまで大きく注目されるようになったのは、2016年にGoogle社が発表した研究結果がきっかけです。 

この研究は「プロジェクトアリストテレス」と名付けられ、「効果的なチームを可能とする条件は何か」という問いに対する答えを見つけ出すことを目的として実施されました。
 
2012~2015年までの4年間実施された研究の結果、「誰がチームのメンバーであるか」よりも「チームがどのように協力しているか」が真に重要であることが判明しました。
その研究結果の中で、チームの効果性に影響する因子として最も重要とされたのが、「心理的安全性」です。
 

参考:「効果的なチームとは何か」を知る|Google re:Work
 

心理的安全性が低いとはどのような状態か?

 

それでは、心理的安全性が低いチームにおいては、どのようなことが起こっているのでしょうか?

エドモンドソン教授によると、以下の「4つの不安」が心理的安全性を低下させる要因となるそうです。
 

(1) 無知だと思われる不安

 

会議や業務上の会話の中で、知らない言葉が出てきた際、つい知っているフリをしてしまうことはありませんか?
これが、「無知だと思われる不安」です。
 

本来であれば、わからないことを質問し、解消することを優先した方が良いでしょう。
しかし、質問することで「そんなことも知らないのか」と思われる不安の方が大きくなってしまうのです。
 

(2) 無能だと思われる不安

 

ミスをしてしまった時に、怒られることや、能力がないと思われることを恐れて報告ができないというケース。
これは「無能だと思われる不安」です。
 

ビジネスの基本を表す言葉として「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」がありますが、ホウレンソウができないという課題の裏には、無能だと思われる不安があるかもしれません。
「ミスをしたときに言えない」と、後々大きなトラブルへと発展することもあります。
 

(3) 邪魔をする人だと思われる不安

 

気になることや思いついたアイディアがあっても、その場の空気を読んで言わないでおこうと思うことがあるかもしれません。
これが「邪魔をする人だと思われる不安」です。
 

懸念点があるなら、先々のことを考えれば検討しておいた方が良いでしょうし、思いついたアイディアによって議論が活性化することもあります。
しかし、会議の終盤や、話がまとまりつつある局面では、振り出しに戻るような発言をして「邪魔をする人だ」と思われたくない気持ちが優先されてしまうのです。
 

(4) ネガティブだと思われる不安

 

率直に意見を言ったり、指摘をすることによって、時として他者の意見を否定してしまうこともあるでしょう。
たとえ建設的な意見であっても、「否定的だ、和を乱す」と思われることを恐れて、発言できないというケースも少なくないようです。
これは「ネガティブだと思われる不安」に該当します。
 

意見が異なることは、必ずしも悪いことではありません。むしろ多面的に考えられるのは歓迎すべき能力と言えます。
しかし、他者の意見に対して少しでも否定的な要素があると、その後の関係性等を考慮して発言を控えてしまうのです。
 
 

上記の「4つの不安」が生じやすい環境は、「心理的安全性が低い状態」であると言えます。
こうした状態では、日常的なコミュニケーションにも支障が出て、業務上も円滑な連携を図れないのではないでしょうか。
そのままにしておくと、チームの生産性を高める上で大きな障壁となってしまいます。
 

心理的安全性を高める3つのメリット

 

それでは反対に、心理的安全性が高いチームになると、どのようなメリットがあるでしょうか?
ここでは、3つご紹介いたします。
 

1. コミュニケーションの活性化

 

心理的安全性が高いチームでは、誰もが自由に発言できます。
発言に際して不安や恐怖がないため、コミュニケーション機会の増加に繋がります。
 

その結果、情報の伝達やアイディアの交換、率直なフィードバック等を活発に行うことができます。
コミュニケーションが円滑であれば、ミスや不測の事態が発生した際も、迅速に連携して対応できるでしょう。
 

2. 生産性向上

 

心理的安全性が向上すると、コミュニケーション環境が改善し、仕事に集中しやすなります。
発言や行動に対する不安が解消されることで、余計なことに悩む必要がなくなるためです。
 

Google社のリサーチによると、心理的安全性が高いチームのメンバーには、「他のチームメンバーが発案した多様なアイデアをうまく利用することができ、収益性が高く、「効果的に働く」とマネージャーから評価される機会が2倍多い」という特徴がありました。
また、メンバー間の連携もしやすくなることから、個人だけでなく、チームとしてのパフォーマンスも高めることができるでしょう。
 

引用:「効果的なチームとは何か」を知る|Google re:Work
 

3. エンゲージメント向上

 

チーム内の人間関係・協力体制が改善されるということは、従業員がより働きやすい環境になるということです。
安心感があり、自分の強みを発揮して働くことができるチームであれば、チームへの愛着も深まるでしょう。
 

その結果、離職率が低くなる効果も見込めます。
 

心理的安全性を測る「7つの質問」

 

それでは、心理的安全性を高めるためには、どうすれば良いのでしょうか?
 

まずは、現状を把握することが重要です。
エドモンドソン教授は、心理的安全性を測る指標として、以下7つの質問を提唱しています。
 

(1) チームの中でミスをすると、たいてい非難される。
(2) チームのメンバーは、課題や難しい問題を指摘し合える。
(3) チームのメンバーは、自分と異なるということを理由に他者を拒絶することがある。
(4) チームに対してリスクのある行動をしても安全である。
(5) チームの他のメンバーに助けを求めることは難しい。
(6) チームメンバーは誰も、自分の仕事を意図的におとしめるような行動をしない。
(7) チームメンバーと仕事をするとき、自分のスキルと才能が尊重され、活かされていると感じる。
 

上記の質問に対し、ポジティブな回答が多ければ、心理的安全性は高いと言えます。
反対に、ネガティブな回答が多い場合は、心理的安全性が低いという判断になります。
 

ネガティブな回答になった部分について、対策を講じていけば自ずと心理的安全性は高まっていくので、まずはチームの状態を測ってみましょう。
 

まとめ

 

今回は、「心理的安全性」について取り上げました。
 

心理的安全性を高めることができれば、生産性向上や職場環境改善等、様々なメリットを享受することができます。
コミュニケーションに関わる部分が大きいので、特別な費用をかけずに対策を講じることもできます。
まずは、自分の職場・チームはどのような状態なのか、確認してみることをおすすめします。
 

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