2023-02-24
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ウェルビーイング経営、注目の理由とは? 3つのメリットと取り組み方
- ビジネストレンド
「ウェルビーイング」「ウェルビーイング経営」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。
直訳すると「健康」や「幸福」を意味する言葉であることから、従来は医療・福祉関連の言葉として用いられてきました。
ところが近年、ワークライフバランスの推進や働き方改革等の環境変化に伴い、ビジネスシーンにおいても注目を集めています。
そこで本稿では、「ウェルビーイング」という概念とビジネスとの関わりを取り上げ、注目される理由やメリット、取組事例をご紹介します。
ウェルビーイングとは?
ウェルビーイングの定義
ウェルビーイング(well-being)は、日本語訳すると「健康」「福祉」「幸福」等を意味する言葉です。
定訳がない概念ではありますが、ウェルビーイングに関しては、世界保健機関(WHO)憲章前文に以下のような記載があります。
Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。
日本においては、厚生労働省が『雇用政策研究会報告書 概要(案)』で下記のように定義しています。
「ウェル・ビーイング」とは、個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念。
ウェルビーイングとは、単に「健康である」ことを指すのではなく、様々な観点において良好な状態、満たされている状態を指すことがわかります。
ウェルビーイングを構成する5つの要素
それでは、具体的にどのような観点がウェルビーイングに影響するのでしょうか。
アメリカの調査会社であるギャラップ社は、世界150カ国以上のグローバル調査の結果、ウェルビーイングの共通要素として5つの要素を示しています。
- Career Well-Being(キャリア・ウェルビーイング)
1つ目の要素は、キャリアのウェルビーイング。ここでは、仕事だけではなく、自分の時間の大半を占めること(ボランティア、趣味、家事、育児等)を指します。
- Social Well-Being(ソーシャル・ウェルビーイング)
2つ目は、人間関係のウェルビーイング。強い信頼関係や愛情のある人間関係を持っていることをいいます。
- Financial Well-Being(フィナンシャル・ウェルビーイング)
3つ目の要素は、経済的なウェルビーイング。効率的に資産管理をして、経済的に安定していることを指します。
- Physical Well-Being(フィジカル・ウェルビーイング)
4つ目は、身体的なウェルビーイング。健康であり、日々の活動に十分なエネルギーがある状態のことです。
- Community Well-Being(コミュニティ・ウェルビーイング)
最後に5つ目は、地域社会でのウェルビーイング。地域社会とつながっている感覚があることを指します。
≫参考:The Five Essential Elements of Well-Being|Gallup
ウェルビーイング注目の背景
それでは次に、なぜウェルビーイングへの注目が集まっているのか、その背景を見ていきましょう。
SDGsの取り組み
SDGsとは、2015年に国連サミットで採択された、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」のことを言います。
2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標として、17のゴールが示されました。
その中の1つに、「3. GOOD HEALTH AND WELL-BEING(すべての人に健康と福祉を)」というゴールが含まれています。
このように世界で取り組む国際目標に「健康」「福祉」が掲げられたことも、ウェルビーイングが注目される大きな理由となりました。
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ダイバーシティの浸透
ダイバーシティとは、「多様性」を意味する言葉です。
人種や性別、年齢、宗教等、異なるバックグラウンドを持つ人材を受け入れ、活躍できる環境を整えることは、企業の成長にとっても重要な課題となっています。
多様な人材が活躍するためには、労働環境の整備も必要となります。
ワークライフバランスの推進等、全ての人材が多様な働き方を選択できるようにするための取り組みは、ウェルビーイングにも通じるところです。
働き方改革の推進
「働き方改革」とは、厚生労働省によると「働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすること」を目指す改革です。
前出のウェルビーイングの定義とも共通する考え方ではないでしょうか。
国が働き方の改革に取り組むようになったことを受け、ウェルビーイングにも注目が集まるようになりました。
長時間労働の是正や雇用形態による不合理な待遇差の解消等は、ウェルビーイングの「個人の権利の保障」や「身体的・精神的に良好な状態」にもつながる取り組みとなるでしょう。
ウェルビーイング経営のメリット
それでは次に、ウェルビーイング経営に取り組むメリットを3つご紹介いたします。
従業員の健康維持
ウェルビーイング経営に取り組むメリットとして、まず従業員の心身の健康維持につながることが挙げられます。
従業員の身体的・精神的な健康が損なわれると、どのようなことが起こるでしょうか。
考えられるデメリットは、以下の通りです。
- 休職や退職による人員不足
- 体調不良による従業員のパフォーマンス低下
- 企業が負担する医療費の増加
ウェルビーイング経営に取り組むことは、こうしたリスクへの対策にもつながると言えます。
生産性向上
個々人のパフォーマンス向上により、生産性向上も期待できます。
メンタルヘルスケア等を手掛けるアドバンテッジリスクマネジメントの調査によると、従業員の「ウェルビーイング」と仕事の生産性には相関関係があることがわかりました。
同社のサービスを利用する約29万人のデータを分析したもので、ウェルビーイングの追求が、企業の生産性向上につながる可能性があるとの結果が出ました。
≫引用:ウェルビーイングと生産性は相関、29万人分析 民間調査|日本経済新聞(2022年11月25日)
離職率低下・人材の確保
ウェルビーイングへの取り組みにより、従業員の働きやすさや企業への満足度が高まれば、離職防止にもつながります。
また、「ウェルビーイング経営に取り組む企業」というイメージは、求職者にとっても魅力的です。
新たな人材の確保という点でも、効果的だと言えるでしょう。
ウェルビーイング経営に役立つeラーニング講座
それでは最後に、ウェルビーイング経営に取り組むにあたって、参考になるeラーニング講座をご紹介いたします。
SDGs
ウェルビーイングが広まる背景ともなったSDGsについて、基本知識からビジネスとの繋がりまで幅広く解説するeラーニング講座です。
SDGsの知識・情報を整理し、ビジネスに活かしたい方におすすめです。
メンタルヘルス
精神的な健康を保つための、メンタルヘルスケアに役立つ知識の習得を目的としたeラーニング講座です。
自分自身のメンタルケアはもちろん、従業員のヘルスケアを考える上でもお役立てください。
ダイバーシティ
ダイバーシティの基本的知識を習得し、多様な人材が活躍する組織づくりをする上で参考になるeラーニング講座です。
まとめ
今回は、「ウェルビーイング経営」について取り上げました。
従業員がイキイキと働くことは、企業にとってもメリットが大きいことがおわかりいただけたかと思います。
企業価値の向上にもつながるので、一度ウェルビーイング推進を検討されてみてはいかがでしょうか。
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